2015年7月27日月曜日

第5回ボバース研究会学術大会

7月25、26日にホテルイースト21東京で行われた第5回日本ボバース研究会学術大会に参加し、演題発表を行った。
 
インストラクターの先生方を前に発表を行うのはかなり緊張しましたねぇ・・・。


 
私の発表は、ブログでも何度か書いている姿勢コントロールのメカニズムに基づいて評価・介入を行った結果をまとめたもので、自分がまとめてきたものが正しかったのかどうか気になるところであった。
 
様々な先生方よりご意見を頂き、大変有意義なものであった。
今までブログで書いてきたこともおおよそOKであったが、神経メカニズムについての表現・ニュアンスはインストラクターの先生方のなかでも多少異なるものがあった。


 
神経科学の分野は急速に発展しているが、まだまだ解明されていない部分も多く、その解釈も研究者によって異なることもある。
 
今回の経験で、自分はまだまだ情報不足であることを痛感した。
常に新しい情報を取り入れ、何を根拠に評価・介入を行っているのか明らかにしておくことが大切である。
 
今後、英語の文献等も含めて、読みあさり知識を深めて行こうと思う。
得られた知識は少しずつブログにアップしていきたい。
 
本日はここまで。
続きはまた次回。。。

2015年7月23日木曜日

理学療法はサイエンス?それともアート??

先日、休暇をいただき沖縄の石垣島に訪れていた。

石垣島の海を堪能するため、私たちはシュノーケリングのツアーに参加した。
参加した日は台風の影響が少なからずあり、波が高く流れが速い場所があったり、突然雨が降ったりすることもあった。

しかし、ツアーのガイドさん達は天候などを瞬時に判断し、安全にきれいな海を楽しめるポイントを判断しながら私たちを案内してくれた。
あんなに広大な海の中で、安全でしかもきれいなポイントを探し当てることができる彼らの経験・能力はすばらしいものであった。

天候は今一つなところもあったが、私たち参加者は大満足で最高の1日を過ごすことができた。

そんな経験をした帰路の途中、私たち理学療法士はどうなのかふと考えた。


●理学療法はサイエンスであり、アートである●
理学療法はサイエンスであり、アートであると表現されることがある。
サイエンスの部分は、近年、EBM(Evidence Based Medicine:科学的な根拠に基づく医療)やガイドライン等にてその必要性が示されている。これらでは、動物実験から有用と思われるとか学会等で権威のある方が推奨したというものは根拠にはならず、患者を対象としたランダム化された臨床試験において、期待した結果を証明できたものがエビデンスとして評価され蓄積されていくようである。
個人的には動物実験などの基礎科学的な知見を基に臨床推論を行いながら実践していく理学療法もサイエンスに含まれるように思うが、仮説・検証を行っていく際にはどうしても経験が重要となるためどちらかといえばアートに含まれるようだ。
アートの部分で注目されているのは、NBM(Narrative Based Medicine:語りに基づいた医療)である。これは、患者との対話を通じて、病期の背景や人間観を理解し、患者が抱えている問題に対して全人的(身体的、精神的・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする臨床手法である。

理学療法士という職業において、“治す”という事に関しては、根拠となるデータが十分にそろっていないことが多く、特に脳卒中片麻痺患者においてはまだまだ分かっていない部分の方が多いと思う。そのため、障害とどのように向き合うか、障害とどのように付き合いながら生活をしていくかという部分も重要となり、そのためにはNBMのような患者の語りに耳を傾けながら、患者が求めていることに対して、最も可能性が高いであろうアプローチを選択していくことが重要であると思う。

サイエンスであろうが、アートであろうが、患者が求めることに対して最大限の力が発揮できるよう努めたいと思う。



 

2015年7月10日金曜日

脳卒中患者の体幹機能と歩行能力

体幹機能と歩行との関係についてもう少しまとめたいと思う。

Perryは、歩行中の身体を①上半身と骨盤と②骨盤と下半身の2つの機能単位に分けており、上半身と骨盤をPassenger unit(乗客)、骨盤と下半身をLocomotor unit(機関車)と表現している。さらに、歩行中Passenger unitのアライメントこそ、Locomotor unitの筋活動を左右する最大の要因であるとも報告している。
また、その他にも体幹での制御を必要とする座位での非麻痺側上肢側方リーチテストのリーチ距離と歩行との関係を調べた研究があり、歩行自立群と非自立群ではリーチ距離に有意差が認められたと報告されている(三ツ川ら 2010)。

このように体幹機能と歩行との関係を示した報告は多数あり、体幹機能と歩行との間には密接な関係がある。

●非麻痺側上肢側方リーチ時の構成要素●
歩行との関わりが深い、非麻痺側上肢側方リーチ時の構成要素について細かく分析を行ってみたいと思う。
まず、上肢を拳上する際、三角筋の活動に先行して拳上とは反対側の脊柱起立筋の筋活動を認めるとされており(Balen'Kiiら1967)、リーチ動作に先行した反対側体幹の安定が必要である。
また、側方への重心移動時には両側腹直筋、腹斜筋の筋活動による上部体幹の安定に加えて、重心移動を行う側(側方リーチを行う側)とは反対側の腹斜筋群および腰背筋群の活動による骨盤のコントロールが必要である。(体幹機能の謎を探る:アイペック)

つまり、脳卒中片麻痺患者の歩行獲得のためには①動作に先行した麻痺側体幹の安定性と②麻痺側腹斜筋群や腰背筋群による骨盤のコントロールが必要で、予測的な姿勢コントロールの獲得が必要である。
姿勢制御に関する詳しい情報はこちら↓
http://sukecchi2003.blogspot.jp/2015/03/blog-post_26.html
http://sukecchi2003.blogspot.jp/2015/05/blog-post_7.html
http://sukecchi2003.blogspot.jp/2015/05/blog-post_14.html


本日はここまで。

続きはまた次回。。。

2015年7月3日金曜日

脳卒中急性期リハは早期の立位・歩行訓練だけではない

今回は脳卒中急性期のリハビリについてまとめたいと思う。

脳卒中ガイドラインでは座位.・立位、装具を用いた歩行訓練をできるだけ早期から積極的に行うことが推奨されている。
また、早期に歩行が自立しない限り、廃用性萎縮は入院2週間目には明らかで、その回復のには歩行訓練開始までの期間の3倍以上を要すると言われており(近藤ら 1997)、立位.・歩行訓練は特に廃用予防の為には重要である。

しかし、急性期脳卒中患者には、症状の増悪や合併症、血圧コントロール不良などにて積極的な離床が行えない場合もしばしば経験する。

そういった場合、積極的な離床ができないからといってベッド上安静にしたり、ROM訓練のみしか実施しないという状況であれば、患者の回復を妨げてしまう。

それではどのようなアプローチを行えば良いだろうか?

前回のブログでも示したが(前回のブログはこちら)、将来的な歩行獲得の為には急性期のうちに安定した座位保持ができる程度の体幹機能を獲得しておく必要がある。

そのため、積極的な離床が行えなくても体幹機能向上へ向けたアプローチを行う事が重要である。

●体幹機能向上に向けたアプローチ●
発症早期の脳卒中患者を対象に臥位や座位にて体幹機能向上に向けたアプローチを行った群とそうでない群とを比較した研究がある。
アプローチ群では、臥位にて寝返りやブリッジなどの運動座位にて骨盤の選択的な運動やリーチ動作などの座位バランス練習を実施した。コントロール群では他動的な関節可動域訓練や電気刺激を実施したどちらの群も1回30分間のアプローチを週4回実施し8週間継続した。
介入の結果、アプローチ群はコントロール群に比べ、有意に体幹機能の向上を認め、立位バランスや歩行能力の改善を認めた。
(Saeys W et al.:Randomized controlled trial of truncal exercises early after stroke to improve balance and mobility.Neurorehabil Neural Repair,2012,26(3):231-238 )

つまり、立位や歩行訓練が困難な状態でも、臥位や座位にて体幹機能向上に向けたアプローチを実施することで将来的な立位バランスや歩行獲得へ向けたアプローチが可能であるという事である。

また、歩行を優先的に実施した群と起居・移乗などの基本動作を優先的に実施した群を比較したところ両者ともに運動機能、移乗・移動能力、ADLが向上し、プログラムの差異による違いは認めなかった(平野ら)という報告もあり、必ずしも立位・歩行訓練を積極的に実施しなくても、基本動作に積極的に関わることで将来的な歩行・ADL向上につながると思われる。


本日はここまで。

続きはまた次回。。。