2017年11月11日土曜日

電子書籍の発売開始

 前回ご紹介した電子書籍【脳卒中片麻痺患者に対する理学療法-治療を提供する上で知っておきたいこと- PartⅠ】が発売開始になりました。

書籍の紹介文章
Blog「脳卒中リハビリのお勉強」で示してきた内容について書籍にしました。

今回はその第1弾として、姿勢コントロールについてのまとめを行いました。

脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションを行っている方は、是非参考にしてみて下さい。


目次

1.姿勢コントロールの神経システム

2.課題動作と神経システム

3.予測的な姿勢コントロールと身体図式

4.姿勢の安定とオリエンテーション

pdfファイルで制作してありますので、各種スマートフォンやタブレット端末などからでもご覧になれます。

興味のある方は是非参考にしてみて下さい。
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2017年11月5日日曜日

電子書籍「脳卒中片麻痺患者に対する理学療法-治療を提供するうえで知っておきたいこと-」の発売(予告)

 ブログ「脳卒中リハビリのお勉強」を開設して、2年以上の月日が過ぎ、リハビリテーションに関するブログを50件以上更新している。閲覧者も30万人を超え、これを一区切りにこれまでブログでまとめてきた内容について書籍としてまとめようと考えた。

 第1弾はブログで示してきた姿勢コントロールについてのまとめを行った。ブログで示しきれなかった内容などを新たに追加し、脳卒中片麻痺患者のリハビリテーションを行う上で重要と考える内容について書籍としてまとめた。

 現在、校正段階ではあるが、その一部を紹介したいと思う。













カートに入れる


近日中には発売しようと思うので、興味のある方は一度チェックしてみてください。

2017年10月1日日曜日

雑誌「Stroke」に掲載決定!!「Assessment Model to Identify Patients With Stroke With a High Possibility of Discharge to Home」

 この度、アメリカ脳卒中学会(American Stroke Association)のオフィシャル誌「Stroke」に論文が掲載されました。
 ・・・とは言っても、今回は共著であるため名前を載せて頂いたという程度ですが。

 今回掲載された論文は、Assessment Model to Identify Patients With Stroke With a High Possibility of Discharge to Home(急性期脳卒中後の自宅退院可能性の評価指標の開発)というタイトルであり、脳卒中発症3日以内に測定した評価項目を基に急性期病院から直接自宅退院が可能か否かを判断する指標を作成したものである。

 近年の脳卒中患者は軽症化が進んでおり、特に脳梗塞の患者においては7割近くが急性期病院から退院している(某脳神経センターのデータより)。そのため、入院直後より退院へ向けた支援を行うことが重要であり、今回開発された評価指標を利用することでよりスムーズに支援を行うことが可能となると思われる。

興味のある方は、論文も読んでみてください。
Assessment Model to Identify Patients With Stroke With a High Possibility of Discharge to Home



本日はここまで。

続きはまた次回。。。

書籍の紹介
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2017年9月24日日曜日

症例報告の重要性について考えてみた

 「症例報告」について話をする機会を頂いた。「症例報告」についての話を行うに当たり、自分なりに症例報告の重要性について考えてみた。
 今回は、症例報告の重要性についてまとめていきたいと思う。


●エビデンスとは?●
 Evidenceは、根拠・証拠を意味する英単語であり、医療や理学療法場面で利用されれば、医療・理学療法の根拠・証拠の意味を指す。エビデンスにはその信頼の度合いによってレベル1~レベル6までランク付けがされている。


 症例報告はエビデンスレベル5であり、治療の根拠としては信頼性の低いものである。症例報告を行っても治療の根拠としては信頼性の低いものであるため、行っても意味がないと思われるかもしれないが、それは違う。
 エビデンスには、3つの役割がある。1つ目は、治療の根拠となるデータを作り出すこと。2つ目は、作り出されたデータを臨床の場で使うこと。3つ目は、作り出したデータや臨床の場で使った経験を多くの人に伝えることである。そのため、私のように臨床で働いている療法士が、医療のエビデンスに貢献できることといえば、作り出されたデータを臨床の場で使うこと、つまり、EBMを実践することであり、そして、その経験を学会や論文で多くの人に伝えることであると思う。


 信頼性の高いエビデンスは数多く出されているが、日本人を対象としたものはあまり多くないことが指摘されている。また、信頼性の高いエビデンスがあったとしても、方法を標準化するために対象者を限定していることも少なくない。そのため、自分が対象とする患者にそのエビデンスが有効かどうか吟味する必要がある。症例報告を行う意義は、エビデンスを利用する際の「工夫やコツ」を伝えることであると思う。




●EBMについて●
 エビデンスとEBMは混同されがちであるが意味は異なる。エビデンスは、先ほど示した通り医療の根拠・証拠を意味し、臨床判断においてその判断に根拠を与えるもののことである。一方、EBMは、個々の診療にエビデンスを応用する方法論である。つまり、エビデンスは一般的な情報で、EBMは個別の医療実践であることは区別しなければならない。
 EBMは、個々の診療にエビデンスを応用する方法論であるため、「脳卒中の患者には、この治療方法でなければダメ!!」と治療を統一・限定するものではない。自分の目の前にいる患者それぞれに、よりよい治療方法はなんであるかを導き出すことが大切である。そのため、療法士が治療方法を決定する、もしくは、患者自身が受ける治療方法を決定するための判断材料としてエビデンスは利用されるものである。誤っても、EBMとはエビデンスに基づいた診療ガイドラインを作成し、診療の統一を図るという認識を持ってはいけない。



 また、EBMは、臨床疫学を個々の診療に応用するための方法論とも言われている。疫学とは、集団を対象とした研究で、Aという集団とBという集団を比較すると、どちらが有意な改善を示しているか?という事を示す研究方法であり、結果に関しては、統計学的に有意かどうかが重要となる。そのため、エビデンスレベルでは、多施設間のランダム化比較試験などが信頼性の高いものとなっており、症例報告などの個人を対象としたものや統計学的処理を行っていないものは信頼性の低いものとなっている。
 そのため、EBMで用いるエビデンスは、原則として疫学的方法によって得られた経験的・実験的な情報であることが重要であるとされている。しかしながら、注意すべきことは、統計的に有意差があっても目の前の患者に対して有益かどうかは吟味しなければならないことである。例えば、「ある治療を行うと5%有意に早く退院できる」といったエビデンスがあるとする。「5%早く・・・」と聞くと有益に思うが、平均在院日数が60日の場合、5%早く退院できるという事は、通常よりも3日早く退院できるというデータということになる。歩行速度でも同様で、「5%有意に歩行速度が速くなる」というエビデンスを適応しようとする患者の10m歩行が10秒であれば、9.5秒になるというデータになる。つまり、利用しようとするエビデンスが、対象の患者にとって有益かどうかきちんと吟味することが重要となる。しかしながら、EBMで用いるエビデンスは、疫学的方法によって得られたものとされているため、神経科学や運動力学などの基礎科学的な実験で得られたデータは信頼性の高い根拠とはならないことも認識しておかなければならない。




 EBMを実践するために必要な項目をまとめると、下記に示す図のように5つの項目が重要となる。



 まず、ある患者に、ある介入を行うと、別の介入と比較してどうなるか?といった臨床的な疑問を挙げることから開始する。
 次にその疑問を解決するために必要なエビデンスの検索を行う。注意しべきは、ガイドラインなどはガイドラインを作る組織委員会に所属する人の批判的吟味、つまり、主観も入っているいう事である。多くは経験を積まれた方が作成しているため問題ないと思われるが、解釈が妥当かどうは再度吟味する必要があると思われる。経験の浅い療法士であれば、ガイドラインを利用した方が良い結果を導けると思うが、経験を積んだ療法士であれば、一次情報源となる原著論文などを自ら吟味し、活用することも重要と思う。
 利用すべきエビデンスが見つかったら、取得したエビデンスが妥当なものかどうか吟味することが必要で、目の前の患者に役立つかどうか?目の前の患者の価値観や目的に合うかどうか?を吟味し、患者と一緒に決断する必要がある。
 最後にエビデンスを用いた結果がどうであったか?次に活用する際に工夫したほうが良い点はあるか?などの振り返りを行う。このようにEBMは成り立っている。

●まとめ●
 症例報告はEBMの実践における「工夫やコツ」を伝えることができるものである。患者それぞれの臨床的な疑問1つ1つが症例報告の重要なテーマになると考える。また、エビデンスが少ないものに関しては、症例報告が新たなエビデンスを作り出すための問題提起となることもあるため、臨床家として、医療に貢献するために症例報告を行うことは重要と考える。



本日はここまで。

続きはまた次回。。。

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2017年9月8日金曜日

雑誌「理学療法学」に掲載予定(長期外来リハビリテーションにより就労に至った被殻出血の一例)

 雑誌「理学療法学」に投稿していた症例報告が受理され、Jstageで早期公開されることとなった。前回の論文掲載時も同様であったが、論文の形になるとそれらしくなり、自分の書いたものが載っているとうれしいものですね。


 今回投稿したものは「症例報告」であるため、エビデンスレベルでいえば価値の低いものであるが、臨床の療法士として、「症例報告」を行うことは重要と考えている。
 集団を対象とした研究を行い新しいエビデンスを作り出すことは大変重要なことと思う。しかしながら、そのエビデンスを利用し、いわゆるEBMを実践すること、また、それを報告することは臨床の療法士としては重要な役割であると思う。

 臨床の療法士もEBMに基づいた理学療法を実践し、多くの場で活躍できるようになれればいいなぁと思います。

興味があれば論文も読んでみて下さい。
長期外来リハビリテーションにより就労に至った被殻出血の一例



本日はここまで。

続きはまた次回。。。

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2017年8月1日火曜日

第7回日本ボバース研究会学術大会

 先週末に盛岡で行われた第7回日本ボバース研究会学術大会に参加した。
 東北地方に行くのは、今回が初めてだった。7月末にもかかわらず、ジャケットを着ていても十分過ごせるくらい涼しく感じた。

 今回の学術大会では、ボバース基礎講習会を受講したセラピストによる介入がFIMに良い影響を与えるか?というテーマで発表を行った。
 ボバースコンセプトに基づく介入とは何か?治療内容をどう定義づけるのか?ということに議論が及んだが、個人的には、ボバースコンセプトとは、姿勢コントロールと運動コントロールの観点から対象者の潜在性を評価し、個別に治療を行っていくものだと思うので、研究のためにどのアプローチを何分行うものか?などの定量的に治療体系を定義づけする事に関しては、やや違和感を感じる(研究としては成立しないかもしれないが・・・)。

 とはいうものの、来年度も似たようなテーマで、治療内容も調査しつつ発表できたらなぁと思っています。




本日はここまで。

続きはまた次回。。。

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2017年5月28日日曜日

運動学習③

引き続き、運動学習について。
今回は、脳科学における運動学習について少しまとめていきたいと思う。

 運動学習は3種類に分類される。それは、教師なし学習教師あり学習強化学習である。今回は教師あり学習と強化学習についてまとめていく。

●教師あり学習と強化学習
 教師あり学習は、目標となる運動があって、それと同じ運動を行おうと比較・修正する方法である。この学習は、主に小脳により調整が行われ、「意図した運動」「実際に行った運動結果」誤差を検出し、長期抑圧に基づいてその誤差を減少させる「誤差学習」である。
 強化学習は、行った運動結果がもたらす成功(報酬)をできるたけ増やしていこうとする方法である。この学習は、主に基底核により調整が行われ、「期待される報酬の量」「実際に得られた報酬の量」誤差(予測誤差)に応じて興奮し、シナプス伝達効率を向上させるものである。



●強化学習●
 強化学習が行われるためにはドパミン作動系が働く必要があり、ドパミン作動系の活動が大きくなればシナプスの伝達効率を向上させることができるとされている。これに関する研究は、動物実験により行われているものが多い。よい行動をとればエサを与える。エサが与えられれば満足感が与えられ、その時にドパミンが放出され、行動が強化される。イヌがお手を覚える際に行われるものがまさに強化学習である。この原理は脳卒中患者に対しても同様であるだろうか?このことに関連して、ドパミンの前駆物質であるレボドパと理学療法の組み合わせが脳卒中後の運動機能回復に関与するかどうかを調べた研究がある。その結果、レボドパと理学療法を組み合わせたアプローチを行った群の方がプラセボ群と比較し有意な運動機能の回復を認めたとされており、ドパミン作動系の活動を促すことにより、脳卒中後の運動機能の回復を促すことが示されている。

 それでは、薬物を用いずドパミン作動系の活動を促すためにセラピストはどうしたらよいだろうか?健常人を対象にした研究において、金銭を与えた場合に良好な学習が得られ、線条体等の興奮性を認めたことが報告されている(Wachterら 2009)。この研究において罰金を課した群はよい学習が得られなかったと報告されている。また、食べ物を報酬とした場合、肥満女性は一般女性や男性と比較し、学習の成績が低下したとの報告がある(Zangら 2015)。これらの報告より、罰を与えるよりも報酬を与えた方がよい学習効果を示し、与える報酬も個人や環境因子の違いよって価値が異なると思われる。しかしながら、リハ介入ごとに金品を与えることは現実的には不可能である。金品を与えず、学習を促す方法を調査した研究を紹介する。この研究は、褒めることが歩行能力の改善に寄与するかどうかを調査したものである。結果、褒めた群は褒めなかった群に比べ歩行速度が有意に改善したとされており、褒めることが報酬として働き、運動学習を促したことを示唆している。そのため、リハ中にドパミン作動系の活動を促し、運動学習を促進するためには良い結果が出たタイミングで褒めることが重要であると思われる。

 もう一つ強化学習を促すための重要な要素がある。それは課題の難易度である。サルを用いた実験において、報酬が出る確率を変動させることでドパミン作動系の活動がどのように変化するかを調査した研究がある。この研究では確率が50%となる課題の時に最もドパミン作動系の活動が大きかったとされている(Fiorilloら 2003)。ヒトを対象とした研究では、もう少し高い確率の方がよいとされるものもあり、少し難しいくらいの課題(50%~70%)に設定することが重要と思われる。

●教師あり学習●
 教師あり学習は、「意図した運動」と「実際に行った運動結果」の誤差を検出し、長期抑圧に基づいてその誤差を減少させる「誤差学習」である。ここで小脳で行われる長期抑圧の仕組みについてまとめたいと思う。
注)図中に示すは興奮性を、は抑制性を示す
①まず、大脳皮質から運動指令が出されると、苔状線維を通じて小脳核へ情報が送られ、小脳核の細胞を興奮させる。小脳核の細胞が興奮することにより、シナプスの伝達効率を向上させ、その運動が起こりやすいように作用する。


②同時に大脳皮質で作られた運動プログラムは、平行線維を通じてプルキンエ細胞に情報が送られる。

③運動が実行されると筋・骨格系からの感覚情報が、登上線維を通じてプルキンエ細胞に送られる。

④プルキンエ細胞で大脳皮質で作られたプログラムと実際の運動によって産出された感覚情報の誤差を算出し、誤差分だけ小脳核の活動を抑制する。

⑤小脳核の細胞は、活動しすぎている神経線維を抑制し、シナプスの伝達効率を低下させることで誤差を修正する。加えて、その情報は視床を介して滞納皮質へ送られ、プログラムの修正が行われる。

 このように、長期抑圧に基づいて誤差を減少させていき、最終的には抑制しなくても運動が実行できるように調整をしていく過程が教師あり学習である。


 以上、3回にわたり運動学習についてのまとめをおこなった。
 我々が行うリハビリテーションは、①評価を行い、②問題点に対してセラピー場面で治療を行いパフォーマンスの変化を図る。③そして、セラピー以外の場面や長期的にパフォーマンスの変化が図れるよう関わることが大切であり。①のためには姿勢・運動コントロールが、②のためにはハンドリングやその他さまざまな介入方法(ハンドリングのためには感覚システムの理解が必要)が、③のためには運動学習の理解が重要である。これらの3つのシステムを常に考えながら治療を行うことが大切であると思う。



本日はここまで。

続きはまた次回。。。

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